治療的面接の工夫と手順(増井・池見)のメモ

 

 


・対話をめぐる物語を考えていると、AIによら将棋、けれだ人を配置するあの図を思い出す。

・人は自分の願いを明示しにくい。分かってきたら治療も早い

 


・「人としての願い」「命としての願い」をすべてリンクさせたような願いを見つけることを注目する

 


・相手と融合したり、面接してると、おそらく本人の感情のエネルギーを受け取り、こちらもそういう情緒になったり持続的な気分を手に入れる。いいこともある

 


・「最悪な時を10としたら、今はどのくらいですか?」と聞く、相手が10より下の点数を言うなら「最悪の時より”少しマシ”なんですね」と返す。

 


・ここには「少しマシならそれで良い」といつ基本的治療理念があり、マシの継ぎ足しで物事はよくなっていく考え方がある。

 


・心の点検、確認(でもこれは工業的な言い回しなので微妙、もっといい言い方ないかな?

 


・なぜ生きているのか?と問う人に「あなたはどう生きているのか?」と問う

 


・なぜとという問いは、いつも重たい

 


・どこに座れば話しやすいか、安心するかを探してください

これは「今あなたにとって良い位置があるように、あなたと問題との間にも良い位置関係があるはずだから、その感覚を大事にしてください」という予告編、あるいは暗示

 


・ちょうど良い位置関係の点検・確認することは、それだけで治療的、30分すれば30分治療になっていた。

 


・空間的、人的な良い位置関係、心地よい位置関係を探そうとしてみる。探そうとしないことが一つの問題となりうる。

 


・治療者自身の、自分の心と相手の心の程良い位置関係を探ること、そんな内的作業は大切。(愛着の文脈

 


・開示と自閉、開示するか否かを相手に委ねる

 


・患者さんが知りたがっているのは、「どうすれば自分はもうちょっとマシになれるか?」という伸びしろの部分

 

 

 

・治療者は善悪を持ち込まず、心の健康と成り行きだけを見守っている。

 

 

 

・「素直さ」、何でも素直に訊いたり確認したりすることは、非常に大きな治療態度のベースになる

 


・カールロジャースの治療者の態度をめぐる三条件、の中で一番大事なものは「治療者の純粋性」、それは本物の私、誠実さ、素直さと捉えてもいい。

 


・原体験に即した素直な言葉の威力。

 

 

 

・「ちょっと待って、今のところ、何だか分からないけど私の中で聞いていて悲しい感じになったんだけど」

 


・「ちょっと待って、こういうこと?」と聞き流すより聞き返す。

 


・同じことの繰り返しで話が進まない時「じゃその◯◯という概念をちょっとの間だけ、ここに置きたいと思うけどどうかな?」

 


・クリアリング・ア・スペース

 


・患者から見た「見立て」を増井はする。

短期的な見立てを聞く。「今はとにかくどうなりたいのか?」「そのためにはどうすればいいのか?」「それを当分の間私たちの目標にしませんか」

長期的な見立てを聞く。「長い目で見たらどんな人間になりたいのか?」

「本人が具体的にどうなりたいか?どんな行動が出来るようになればいいか?」

 


・伸びしろ、成長、余白

・「成長する部分をめいいっぱい伸ばす」「可能性をどんどん引き出す」

 


・能力を「病気になる能力」とまで考える

・治療と言わず、伸びしろと言っていいかもしれない

・「良くなるということに、どのようなイメージを持っていますか?」ことを初めに聞くとのこと。

 


・「相手が常に良くならないといけない」というのは直線的な治り方を考えていると思うので、曲がりくねって遠回りするような治り方が自然だよと考えてみる。

 


・「この人の状態が悪いのは自分のせい」と考えるのは、ある種の万能感であり、そんな考え方をしていたら心が落ち着かなくなるのは当たり前。 

 

 

 

・「気がついてみたら、そう”だった”」

 


・人って意外と願いを抑圧していて、それが治癒力を阻害している。自分に対する思い遣りが大事

 


・支えてるつもりが支えられていたりする。その逆もある。

 


・誰かのために何かをしている、とあまりに思っていたら誰にも為にもならなくなってしまう。

 


・融通無碍

 


・問題自体に「その問題はどこに行きたがってるだろう?」と問いかけてみる

 


・秘密のワーク

秘密に触れずに秘密を扱う。ビンに秘密をいれてその気持ち良い・悪い位置関係を探してもらい、その秘密がどこに行きたがってるかを感じてもらう。

 


・相手の話を聞きながら、「ここに持って行こう」「こんな技を使ってみよう」とかそういうのを考えないで、そこに存在している感じ

 


・生きた技法にするには、その技法を使うタイミングをそのときの空気や相手が教えてくれる。

 


・僕は「何を質問しようか」などとは考えていなくて、自分のスペースに入ってくるものについていってるだけ。スペースの中で響いてるものに触れてるだけ

↑これって現象学的方法だなあと思う

 


・症状をなんとかしようと思うなら、症状からは離れて、別の所に「何か」をつくるほうが容易です。

 


・「何があれば今の状態は少しでもよくなりますか?」

 

 

 

・願いのワーク

こういうことさえ無ければ自分は楽なのに!という主訴を持つ患者さんに

 


「これさえ無ければ自分はとても楽なのにと、思うことを、書いてください。その内容は絶対に見ませんので」

書いた言葉の後ろに、事務的にでいいので「能力」と書いてください。

 


この能力によって自分が助かってる面、救われてるものを、ゆっくりでいいので思いを巡らしてください。

 


ここからはもう少し深い内省が必要で、自分の救われてる面、困ってる面というのは、どんな「願い」から生まれてきてるんだろう?と思いを巡らしてください。

大きくうなずきける度合いによって、その願いの正確性の深さがわかります。その答えは一つでもいいし、複数でもいいです

 


だいたい出たかな? その願いのうち「これっぽいな」とか「うん」と頷けるもの一つ二つ選んで丸印をつけてください。その願いの部分だけを、こちらに教えてくれたらなと思います。

 


そういうふうに願いに基づいて自己規定してみたら、問題は生きる原動力のようなものだと認識できるようになります。

「自分はせっかちだ」と自己規定するよりも、「与えられた仕事をきっちりこなしたい人間だ」と自己規定する感じです、これだと次の行動に移りやすいはずです。

 


・関係の中に問題を投げ入れてみて、関係の中で出口を見つけてゆく

 


・一般論として語ると、他人事のように自分の問題に触れること。他人事のように聞くことが案外大切

 


・「あなたはこうなってますよ」というのはやらない方がいい。すこし押し付けがましくなり、二者関係の泥沼を進めてしまう

 


・「あなたは◯◯だから、こういう行動をするのよね」と人格論を持ち出す弊害。サポーティブではない。

 


・悪い所探し、欠点探しほ面接は多い。(その反対が望ましい)

 


・「良いところ探し」「悪いところの裏」には願いがある、それを見つけようとする。

 

 

 

・意味を持たせないことや、無意味な相談というのは時として効果がある。

必ず決まった時間に、決まった質問をすることで、混乱状態にある人は混乱が静まってゆく。

簡単に答えられる表面的な問いにより、生命体が混乱してる人の温度が下がってゆく。

「ご飯を食べてるか?よく寝れているか?」など。

 


・相手の熱心なことを質問して聞いてみる。教えてもらう意識

 


・上手に黙ること、上手に沈黙することは臨床的にハイレベルなこと。多くの治療者はしゃべる事で安心する。

 

 

 

・「内的世界に侵入する可能性」があると思わせることで、抵抗される。

 


・なりゆきに対する信頼感を持てると、沈黙も苦ではない。

 


・思考の絶対化、今の負の思考が永遠に繰り返されると思うからこそ希死念慮が生まれる。なので「全ては変わってゆく、何事も変化する」ことを伝えるのが、自死の予防策の第一段階。

 


・「どんなふうにそれをしたいのか?」とイメージの中で充分に満足させてあげれば、実際の行動が遅延し回避できる。

(これは死にたいや親殺しの遅延に使われるけど、健康な場合は夢が遅延する状況になりそうだ)